バイクはその場にペタンと横倒しになった。
地面が芝生だったので、なにも傷つかずに済んだ。
だが私はそれなりの身長があったため、
大きく放物線を描いて左へ倒れていった。
すぐ左隣には、車が駐車していた・・・

値段的には保険の範疇と判断され、
免責額以外は保険会社から支払われる事にはなったが、カネの問題ではない。
相手の車両に傷をつけたという現実。
同じ探偵の車好きとして、どれだけ相手の心が傷ついたかは察して余りある。
これだけは金銭や物では拭うことのできない無形のものだ。

やってしまった事は今さら仕方がない。
だが、あの窪み。
たった5センチにも満たないあの窪みに
なぜ70キロも事故なく走ってきて、足を突っ込んでしまったのか。
なぜほんの1センチ、前後左右にズレて足を置かなかったのか。
それだけですべては起こらなかった事なのに。
それだけが悔やまれてならない。