幸運なことに、それ以上話が込み入ってくる前に車はマリが通っていた高校へ着いた。駐車場で待っててくれ、と言い残して車を降りてきたが、ヨウコは後から降りてついてきた。
「なんで?」
「…退屈なんだもの。」
まださっきの話を引きずってるのか、今までとは少しテンションが低いようだった。
「まあいいか。」
わざとそう口に出して、彼女のわがままを肯定してやりながら、放課後の部活で賑わっているグラウンド脇を歩いて、職員用の昇降口に辿り着いた。
「来たことあるんですか?」
「ないよ。」
「真っ直ぐここに来たから…。」
「職員室がどこかはグラウンドの方から見えたろ?だったらその棟のどこかに職員用の昇降口があるんだよ。」
そんなこと考えたこともなかった、とヨウコは言った。
「さすが探偵さんですねぇ。」
探偵だって。訂正しようかと思ったが、来客用窓口へと一人、職員が歩み寄って来るのが見えたのでそれは後回しにした。